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肥料原料 モリタ1号
循環型社会を目指すモリタグループの取り組み:肥料原料 モリタ1号
消火器はおおむね5~10年のサイクルで回収されるか、内部の消火薬剤のみを詰め替え再使用されています。以前、消火薬剤は産業廃棄物として処理されてきました。このまま廃棄をつづけていたのでは重大な環境問題を引き起こしかねない・・・。モリタグループは循環型社会の実現に向け、この廃棄物を何とか有効利用できないかと考え、再資源化に取り組みました。回収消火薬剤が消火薬剤としてリサイクルされるようになった今でも、モリタグループは消火薬剤としてリサイクルできなかった一部の薬剤を肥料化する取り組みを続け、廃棄物削減に努めています。
誕生のポイント
その1 窒素とリン。まさに肥料に最適な成分!
消火薬剤の大部分は窒素とリンから構成されています。肥料の主要な3要素と呼ばれる窒素・リン・カリウムのうちの2つを含んでいるのです。さらに重要なことに、リンは植物の根の成長を促すのに必要不可欠な肥料成分なのですが、工業生産ができず、その原料の100%を海外から輸入しているのが現状です。それが国内で生産できるとなれば農業生産者にとって画期的な出来事。モリタグループではそうした部分にも着目し、2000年10月より研究をスタートさせました。
その2 製品化には困難が。それを克服した技術とは
消火薬剤には性能上、肥料原料として利用しにくい点がありました。
- 直径 0.18mm 以下の超微粒粉のため土壌へ撒く時や撒いた後に飛散しやすい。
- 防湿加工(水に溶解しない)を施しているので肥料効果に即効性がない。
この点を克服するため「すりこぎ」の要領で疎水面を削り、
水溶化する技術を確立(特許:第3772181号)。
これにより肥料化するための問題点を克服し、
2002年10月に「モリタ1号」は農林水産省から
副産複合肥料として肥料登録の認可をいただきました。
親水化処理をおこなったモリタ1号を液肥に加える
その3 産官学連携の共同研究が実現
ご紹介した技術などで、日本初! 消火薬剤のリサイクル肥料「モリタ1号」が誕生。しかし一連の研究開発は、モリタグループがこれまで培ってきた技術だけでは決して成し得ないものでした。今回は、北海道の帯広畜産大学 畜産学部 環境総合科学講座の近藤錬三(こんどう れんぞう)教授を中心とした研究チームとの産学共同研究を実現し、さらに北海道立工業試験場の技術指導を受けて確立したものです。
それが、今後のモリタグループに新たな広がりを予感させる代表的な事例ともなったのです。
モリタ1号を加えた液肥を散布する
その4 さらなる利用技術の研究へ
福岡県築上町、長崎大学、佐賀大学と「消火器肥料リサイクル共同研究会」を発足させ、さらなる研究を進めました。特に循環型農業を積極的に実践する福岡県築上町とは、「モリタ1号」を人の排泄物から生成された液体肥料に加えることで肥料全体としてのバランスを改善。この改良型の液肥を使って、その効果と安全性を実証しました。現在では、この液肥を使用して、米、麦、レタス、菜種などの栽培もしています。
モリタグループは、この「モリタ1号」を生み出す技術を手始めに、「循環型社会」にさらに貢献ができるよう努力をしてまいります。今後のモリタグループに、益々ご期待ください。